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矛盾を抱えていることの魅力 

2007年05月25日 ()

柴田 よしき / 角川書店(1997/10)
Amazonランキング:70421位
Amazonおすすめ度:


男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めて―。性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。第十五回横溝正史賞受賞作。


あちらこちらで有名でとっても気になっていた作家さんです。
作品によっては腐女子的にも萌えがあるとのことだったので、本屋に行くたびにチェックしてちょこちょこ集めています。

友達から「ワーキングガール・ウォーズ」を読ましてもらったのが柴田さんとの出会いでした。
お名前から男性かと思って読み始めたので、働く女性のリアルな感情にビックリしたのを覚えています。さばさば割り切っているかと思えば感情的になってしまったり。それが周りから見たら矛盾しているように見えたり、物語としてはよどみが出てしまったりしていても、そこがかえってバーチャルじゃない現実的だなぁと感じられました。

「ワーキング~」の時も読みやすい文章を書く人だなぁと思っていたのですが、今回も読みやすかったです。
私はBL以外の小説はほとんど読みません。(萌え重視なんで)
これまでの一般書遍歴も京極さん・舞城さん・乙一さん・有栖川さん・森さんという、偏りぶりです。

そんな偏った読書遍歴の私でも読みやすかったってことは相当読みやすい小説なんです。
あらすじを見る限り主人公は警察だし、事件は発生してるし、その事件は謎ばかりだしと推理小説やミステリイ小説の側面も持っていそうな内容なので読み始めるときは勇気が要りました。
読み始めたら最初の心構えはどこへやら、すいすい読めてしまいましたよ。

なんでだろうと考えてみました。
思いついたのがページを開いた時の文章の量です。
柴田さんの小説はスペースを空けてあることが多いんです。
地の文章から緑子の感情の発露に切り替わる時は1行空いてることが多いんですよね。
それがあるからページを開いた時に圧迫感がない。読めるかも→読みやすい。になるんじゃないかなぁと個人的には思いました。
いい意味でコバルトちっくかと。

 : : :

お話は、一気に読めました。犯人は勘のいい人だったら、もしかして早い段階から分かっちゃうのかなぁと読み終わって思いました。私は緑子が気づく直前くらいでしか気づけませんでした。
まあ、謎解き小説としては読んでなかったので事件の解決とか種明かしな部分は特に不満はありませんでした。

この小説の最大の押しは主人公の緑子さんです。
当たり前なんだけどこれは緑子さんの小説でした。ううん、小説じゃない、生き様なんです。ひとりの女性の生き様を見せて頂きました。

私は緑子さんの割り切っているけど割り切れていない感情の揺れに魅力を感じました。それを隠さないところも素敵でした。
感情に正直に怒り、泣いて、襲って。(笑)
踏みにじられた過去を振り切ろうとして足掻いているのに、それをかき乱す周りの男性陣。憎しみ、あきらめ、悲しみ、怒り、愛、欲望。
たくさんの感情が詰まっていて胸いっぱいです。

だって、自分を踏みにじった人を許せますか?っていうか、物語とかだと許せない感情を抱えたまま進むじゃないですか。そのほうがお話としては進めやすいですし、すっきりするし。でも現実は人を憎み続けることや怒りを持続させることって難しいです。
現実問題、人間ってひとつのことだけには囚われきれない生活をしているわけですよ。自分の感情だけじゃなく周りで事件は進んでいくし、腹が減って美味しいものを食べれば満足するし、仕事もしなくちゃいけないし、取調べでは絡まれるし、上司や部下なんかの周りとの関係もあるし。そのなかでひとつの感情を持続させていくのは難しい。その四角四面じゃない感情の流れが凄く現実的に感じました。

男性からみたら「ただの奔放な女性」なのかもしれないけど、だからこそ自由なことの責任を背負って進んでいく緑子さん。強いけど弱い、そんな矛盾を抱えている魅力的な女性です。
その矛盾の表現こそが柴田さんの醍醐味かなと思いました。

 : : :

シリーズの続きを読むのが楽しみです。
「聖なる聖夜」も手に入れたいなぁ~。

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[2007.05.25(Fri) 15:32] ■一般向けTrackback(0) | Comments(0)
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